残業手当(割増賃金計算)の端数処理の端数処理に当たっては、常に労働者の不利となるものでなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、労働基準法第24条および同法第37条違反としては取り扱わないとされています。具体的には、次のとおりです。
1か月における時間外労働、休日労働および深夜業のおのおのの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。
1時間当たりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
1か月における時間外労働、休日労働、深夜業のおのおのの割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、前項と同様に50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
<割増賃金の支払方法>
割増賃金は、その対象となる時間外労働、休日労働、深夜労働が発生した賃金支払期間ごとに支払う必要があります。その場合、1ヵ月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数があるときに、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは賃金全額払いの原則に反しないとされています(昭63.3.14基発150号)。
○通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(抄)
(通貨の額面価格の単位等)
第2条 通貨の額面価格の単位は円とし、その額面価格は一円の整数倍とする。
2 一円未満の金額の計算単位は、銭及び厘とする。この場合において、銭は円の百分の一をいい、厘は銭の十分の一をいう。
(債務の支払金の端数計算)
第3条 債務の弁済を現金の支払により行う場合において、その支払うべき金額(数個の債務の弁済を同時に現金の支払により行う場合においては、その支払うべき金額の合計額)に五十銭未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が五十銭未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を切り捨てて計算するものとし、その支払うべき金額に五十銭以上一円未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が五十銭以上一円未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を一円として計算するものとする。ただし、特約がある場合には、この限りでない。
(最終改正:平成一四年五月一○日法律第四○号)